【前田祇園山笠】
前田祇園山笠は、八幡東区前田地区に古くから伝えられる仲宿八幡宮に奉納される祇園祭で、祭礼に奉仕する氏子の山笠行事です。(昭和36年に、合祀された八束髪神社の祭礼です。)
毎年7月の第3月曜(海の日)を最終日とする3日間の祇園祭で、約800年の歴史があるとされる祭です。
「前田祇園山笠行事」は、平成13年に、北九州市の無形民俗文化財に指定され、平成17年には、八百年祭を迎えました。
その起こりは、室町時代の初期に、この地方を支配した麻生氏が、花尾山麓の広河原(のちの祇園原)に八束髪神社を建立し、領内の除疫・豊穣を祈願して京都八幡神社の建速須佐三男命(たけはやすさのおのみこと)を勧請し、祇園会を行ったことに由来するといわれています。
お祭りの流れは、祭礼の一週間前にお潮井とりの行事が行われ、笹山笠で地区内を巡行し、そのあと人形飾山笠に衣替えして御神幸に随従します。御神幸には、「一番山笠」、「二番山笠」、「本宮山笠」の3基が存在し、日曜日には3つの山笠が仲宿八幡宮から神輿に随従し、お旅所(旧八束髪神社跡地)まで、おくりだしをします。
そこで山笠は神輿と別れ、それぞれの地区を巡行します。
最終日の夜には、集団山見せ(山笠競演会)が行われます。(祇園囃子は「据えばち・練りばち・追いばち」の3種で、大太鼓・小太鼓・鉦の楽器を用い、ほら貝を用いる時もあります。)
昼の部と夜の部があり、夜には人形飾山笠に電飾が施されます。
なお、二番山笠では女人禁制が守られていますが、他の山笠には女性も参加しています。
かつては、「桃園山笠」も存在しましたが、平成17年より休止しています。
【前田さくらまつり】
前田さくら祭りは、北九州市八幡東区にある「さくら通り」(祇園一丁目、二丁目)で、桜の季節に合わせて開催されるお祭りです。
式典をはじめ、交通安全パレードや白バイ、パトカー、消防車の展示試乗会、演芸大会、もちまき、バザーなどが催されます。
当日、さくら通りは、8時~18時まで歩行者天国となり、車両通行止めとなります。
(なお、雨天時は、祇園町銀天街(北九州市八幡東区祇園一丁目)に場所を移して開催されます。)
【前田の盆踊】
前田の盆踊は、市の指定無形民俗文化財で、昭和55年3月1日に指定されました。
遠賀川流域系に広く分布する盆踊りのひとつです。(江戸~明治時代にかけて行われていた地方歌舞伎の芦屋役者や植木役者の影響が大きいと言われています。)
地方の伝承では、明応年間(1492年~1501年)大内氏に攻められた花尾城の戦死者を供養するため踊りを始めたということです。
しかし、明確な成立の時期、経緯などは定かではありません。
近代に入ってからは明治時代中期ごろまで踊られ、その後中断、復活を繰り返し、昭和十年を最後に長らく中断していましたが、昭和33年に再び復活し現在に至っています。
芸態の特徴は、他の同系統の盆踊りに比べて、手振りがいちだんと技巧的で繊細なことです。
曲目は七五調の「みちのく」、「思案橋」の二種類です。
毎年、8月24日の地蔵盆の日に、前田観音堂(祇園町二丁目四番)で踊られています。
長年にわたり地域住民によって伝承されていることは貴重で、市内における遠賀川流域系の盆踊りの一形態を示すものとして重要なものとなっています。